前回は、
苗を「筒網」で保護しても藪ができないからダメ
的なニュアンスで記載しましたが、条件さえ良ければ筒網による植樹はとても便利な方法です。
筒網のデメリットは先に取り上げた通りですが、逆に言えばそれはメリットでもあり、すなわち
鹿が周りの草を食べてくれるので草刈りの手間がかからない
ということになります。
もし鹿がいなければ、辺り一面すぐに草ボウボウになって苗木は藪に負けてしまうでしょう。(そもそも鹿がいなければ木を植える必要もありませんが)
冒頭の写真は木を植えて4年目の場所です。
既に筒網の木は人の背丈を優に超えているため、もう鹿に枝葉を折られることはないでしょう。
ここで一つ、大切に植えた我が樹をご紹介します。
秋なので葉は散りかけていますが、これはケンポナシという木です。
成長が早く、真っすぐ育つため苗としては植えやすいのですが、陽樹のため将来が心配です。
これはシラカシという木です。
カシはこの土地の本来の構成種でしょうが、最近はナラ枯れ病が流行っているためカシ類だけを植えることはしません。
他にも、ウラジロガシ・ミズナラ・オニグルミ・ケヤキ・ヤブツバキ・マユミを植えました。
これらの木を植える際に「筒網」で保護する訳ですが、その筒網一つにつき、鉄筋3本と筒状の金網、高さ1.9ⅿのメッシュ網を要しています。
ちなみに手製です。
既製品ではありません。
おそらく苗一つに、ここまでする所は他には無いでしょう。
お陰様で、不意の破損を除けば、苗木はほぼ全部成長します。
ただ、いつまでも筒網を設置することはできず、そのまま放置すると鉄筋が根っこで固着して抜けなくなってしまいます。
そういう訳で、この度は鉄筋の一部を回収しました。
全部は回収しません。
まだ鹿が樹皮を食べる心配があるため、鉄筋を1本だけ残して筒網を支えます。
実は今回、筒網による植樹を始めて5年目で、初めての回収となります。
これですこしは目指す森の形が見えてきたかと。
苦労が形に成って良かった。