フジの花って綺麗ですよね。
花期は5月頃で、森の端の開けた場所によく咲いています。
クズの花もなかなか綺麗です。
花期は今頃で、紫がかった薄い赤色がおいしそうに見えます。
両方ともつる性の樹木で、フジは山に、クズは空き地なんかに多く見られます。
ただ林業的には大変迷惑な植物です。
スギやヒノキの若木に絡みついて樹形をクニャクニャにしやがるんです。
そのため「つる切り」という作業が欠かせません。
これがまた大変な作業で、見通しのきかないくらいに繁茂したスギやヒノキの植林地に分け入って、どこかで絡んでいるだろうツルを見つけ、根元から切断し、場合によっては絡みついたツルを幹から取り除かなくてはなりません。
写真の林は低い枝を切り落としてあるのでソコソコ見通しは効きますが、まだ何もしていない若い林では、足元から頭上までスギとヒノキの葉っぱ覆い尽くされてしまっているので地面すら見えません。
そこに、砕氷船の様に、枝葉をかき分けながら身を呈して分け入ります。
まあ、時期が時期ですから、ヒルが付くわ、ハチの巣があるわ、風が通らないのでくそ暑いわで、まさに苦行。
見通しがきかないため、自分がどこにいるか、どこまで作業したかもよく分かりません。
夏の雨の日に敢行することが多いので、カッパを着ても汗だか雨だかもう何だかわからない状態で全身ずぶぬれになります。
高価値な木を育てるのは大変なんです。
ところで、冒頭のS巻きとZ巻きとは何かと言いますと、文字の形のごとくツルの巻き上がる向きです。
どうやら種類によって決まっているらしく、フジは「S」字に巻き上がるそうです。
現場で確認したら、確かにフジは全部S巻きでした。
ちなみにZ巻きのフジもあるそうですが、そいつは「ヤマフジ」という別種だそうで、まだ見たことはありません。