なに?この木。
知らないやつだ。


赤みがかった枝が「ミズキ」の幼樹っぽいけど、葉が全然違う。
そんな初めてさんは、とりあえず写真を撮って、家で調べます。
分かりました。
「タマミズキ」さんでした。
「ミズキ」と「タマミズキ」、同じ様な名前だけど、全くの別種で親戚でもないそうです。
ちなみに、全くの別種どうしで似ているのが「アカメガシワ」と「イイギリ」の幼樹です。


「アカメガシワ」なんて私的三大くそ先駆樹種(カラスザンショウ・ヌルデ・アカメガシワ)なもんだから、天然更新の支障木としてバンバン刈っていたけど、ある時、奴らに交じって違う子がいることに気が付いたんです。
それが「イイギリ」さんとの出会いでした。
それと、たまたまですが、「タマミズキ」も「イイギリ」も、秋に葉っぱが散った後、冬になっても赤い実だけが木に残ります。

これはイイギリ
話はそれたけど、要は、自分は木の種類をこうやって一種一種しらべて覚えます。
学者じゃあるまいし、初めから木の種類なんて分からんし…。
積もり積もって、天然更新の際に樹種の判別ができるようになりました。
センブリって知ってます?
胃の生薬とか何とかで、とても苦いらしい。
試しにかじってみたら、本当に苦い。

今やっている現場にチラホラ生えています。
こんな開けた場所に無防備に生えているなんて、おそらく鹿も苦くて食べないのでしょう。

薬としての効果は知りませんが、花はけっこう可愛い。
調べてみたら、種が発芽してから翌年に花が咲いて枯れる二年草で、今咲いている個体は種を付けたら枯れるみたい。
ほお…。
胃が悪い人はかじってみては?

お?立ち枯れたカシの木から立派なキノコが生えてるぞ?
キノコ慣れした非凡な人間であれば遠目で分かります。

「ツキヨタケ」です。
おいしそうに見えますが、しっかりとした毒キノコです。

ヒダと柄の間にあるピラっとした境目が特徴。
しかも「月夜」の名だけあって、夜になると発光します。
何でも中毒件数が最も多い毒キノコで、「ヒラタケ」とか「シイタケ」とか、市販されている有名な食用キノコと間違えてしまうそうです。
「そんなもん知ってれば間違えねえよ!」
と、自分も以前はタカをくくっていましたが、恥ずかしながら数年前に「ヌメリスギタケモドキ」という食べられるキノコの「幼菌」と間違えてご賞味したことがあります。
(いや…、あの時はね。「ツキヨタケじゃねえ?」とは思ったんですけどね。その時一緒にいたベテランの方がね。ヌメリスギタケモドキに間違いないと言うもんだからね。信じ切って味噌汁にして食べちゃったの。)
あれはきつかった…。
症状は、腹痛と発熱。
食べて30分後に来ました。
ヤバい!と思って直ぐにトイレで吐き出し、更に水を飲んで吐き戻すこと計5回。
その対応が良かったのか?翌日には回復しました。
人の言うことを信じるな、とまでは言いませんが、最終責任は自身にあります。
気を付けましょう。
そう。
このキノコを見ると、高校生とか大学生だった頃に地元横浜の緑地を歩き回った事を思い出す。
食べられるキノコを探し、ひとりで森の中をガサガサガサと。
大抵、目ぼしいキノコは見つからず、徒労と共にむなしく時間が過ぎていく…。
そんな中で、しょっちゅう見かけたのがこのカラカサダケ。
目ぼしくなくても、これだけは目立つように生えていました。

スラっとしたフォルムと、柄(棒の部分)についているツバ(輪っか)が特徴。
生で食うと毒ですが、火を通せば食べられます。
久しく味わっていませんが、確か柄(棒の部分)がシャキシャキしておいしかった記憶がある。
機会があったら、どうぞご賞味ください。 ただ、近種にホントの毒キノコがあるので、判別は自己責任で。
天然更新の現場がクズで覆われちまった…。
まさに海。

ヤブの上に覆いかぶさるようにクズが繁茂しているものだから海の様に波打っています。
ちなみにこんな植物も

ネナシカズラ
他人様に食い込んで養分を吸い取るツル性の寄生植物で、こいつがクズに寄生して一緒に絡まるものだから混沌を極めています。
去年、「もしかして…」とは思ったけど、「まあ大丈夫でしょう」とタカをくくり、対策を見送ったのが原因でして…。
とりあえず取り除くしかない。
ほっといたら大切な稚樹が潰される。

おお?ここにいるのは誰だ?

クマノミズキさんでした。

そしてその傍らにはケヤキさんも。
去年、助手がつけてくれたピンクのリボンのお陰で、ヤブヤブした中でもかろうじて発見できます。
それにしても、ただでさえツルのヤブを刈るのは大変な作業なのに、さらに対象の稚樹を誤伐せずに探し出すのはもっと大変で…。
そのうち防護柵を開放して鹿にクズだけ食ってもらおうかな。
社長からアユをもらいました。
早速、七輪で焼いて食べました。

やっぱりアユは炭火で焼くに限る。
骨ごと食べられるのでファストフードのようにパクパクいけます。

ああ、もっと食べたい。
本来、アユなんて川にウジャウジャいるものなんでしょうけど、今は人が放流しないと全然いないし。
なんででしょう。
一番の原因はダムと取水堰による川の分断でしょうが、営林活動による山の荒廃も、河川水量の低下という意味で、アユの減少に一役買っていると思います。
おや?
変な葉っぱの知らない草が生えているぞ?
写真で見たことあるような…。
クマガイソウ?
と思って調べたら、やっぱりクマガイソウでした。

傘みたいな葉っぱの中心から枯れたゴミみたいな物が伸びてるでしょう?
これが花の跡みたい。
興味のある方はどんな花か調べてみてください。
ソコソコ希少な植物で、花が綺麗なものだから、心が綺麗でない方々に獲られるんですって。
けしからん。
そんなことを言っておきながら、先日ピンクの花の草を持ち帰りましたけど。
いや。あれはね。草刈り機で刈り捨てる現場に生えていたものをもったいなかったから引っこ抜いただけでして、ソレガシには決してヨコシマな考えは無くてですね…。
背景はどうであれ、動機は、同じ。
天然更新のヤブを草刈りしていると「フシグロセンノウ」という草本が綺麗な花を咲かせているのをよく見かけます。

普通はオレンジ色の花ですが、一つだけ薄いピンク色の花を咲かす個体がありました。

なにこれ?
別種?
調べてもよく分からないし。

とりあえず、植木鉢を買って植えてみた。
植林した木の苗を成長させるために「草刈り」は必要な作業ですが、綺麗な花を咲かせている草を見ると…ちょっと刈るのをためらってしまいます。
苗の成長に影響がなければ、多少の手心を加えても良いでしょう。
まあ…、ただでさえ我々は林業という営みで自然から資源を搾取しているのだから、手心などと言っても結局はその贖罪心から染み出した偽善行為に過ぎませんがね!

で、今回の手心の対象はこのテッポウユリ。
今の草刈り現場にたくさん生えています。

ヤマユリほど派手ではなく、ササユリほど可憐さはありませんが、白い大きな花が垂直に立った茎の頂点に咲く姿はなかなかな見ものです。
と、長い間この花に対して所見を抱いていたものの、どうやらこの植物はテッポウユリではなくタカサゴユリという別物でした。

花の外側に色が付いていて、テッポウユリより葉っぱが細長い所が特徴の、台湾原産の帰化植物だそうです。
なんだ、また帰化植物か…。
いつぞやのジキタリスといい、ここの山は帰化植物だらけだな…。
それを知ったからといって、後になって刈るような薄情な真似はしませんけど。










