森林保全事業部では「植栽地を自然に還す」活動を行っています。なぜ還すか?どう還すか?実験とも言える取り組みをご紹介します。

自然再生事業の活動は自然林の再生です!これから林業を始めたい方!林業に問題を感じている方!当事業の活動を参考にしてみてください!


自然林再生の試み

松阪市飯高町青田における天然更新

ここはもともとスギとヒノキの植林地で20 ...

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コラム

森林保全事業部としての活動を紹介していきます。

 弊社では通常のスギ・ヒノキの育林ととも ...

旬なお花が咲いています

ギボウシ ササユリ 咲いているのはギボウ ...

草刈りしています

弊社では通常、この時期とお盆前の2回、ス ...

サンショウウオと従業員

スギの伐採作業中、滑って掘り起こした土の ...

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まず、林業と自然について考えた

 見渡す限りスギとヒノキの植林地…。山の麓からてっぺんまでよく植えたなと感心します。先人たちのご苦労には頭が上がりません。

 皆さんは林業について、環境面からどのようなイメージを持っていますか?スギやヒノキの植栽地についてです。どうですか?

 雨水をため込む水源涵養機能?防災機能?炭素の固定?ともすれば、林業が森林環境を守っている…なんてイメージを持っていませんか?

 確かに、適切な管理のもとで間伐が実施され、下層植生が発達したりすれば一定の効果はあるでしょう。でも、考えてください。スギとヒノキの森の前は何でした?自然の森ですよね。スギとヒノキの森なんて元々なかったんです。私たち人間が木材を生産するために、自然の森を伐採して植林をしたんです。そこには水源涵養機能も、防災機能もこの上ない状態で維持されていました。 

 それをもって「林業が森林環境を守っている。」等とはおかしくはありませんか?

 そもそも、林業は森林環境を守るためにあるのではありません。木材を生産するために、人が必要だから行っているのです。間伐ひとつをとっても、下層植生を発達させるために行うのではありません。良質な木材を生産するために行うのです。

 林業は森から木を切り出すのが仕事です。切り出した後に再び木を植えれば永久的に木材が採れると思われがちですが、そんなことはありません。山で作業すれば多かれ少なかれ表土は必ず流れ去るでしょうし、伐採木と共に養分も搬出されていずれ山はやせ細ります。

 伐採・植林のサイクルは永遠ではないのです。


自然林の再生は持続可能な林業のためでもある

 林業は自然を壊す存在であって、決して自然を守る存在ではありません。だからと言って、自然のために林業をなくすわけにはいきません。農地や宅地も、もともとは森や平原を切り開いて作られました。人間が豊かな生活をするために必要だったからです。林業も同じです。私たちが生活する上で木材は必要で、木材を生産するために林業が必要なのです。

 では、どうするか?いわゆる「持続可能な林業」の話です。一般的に行われている伐採⇒植林⇒伐採のサイクルだけでは不十分です。重ねて言いますが、切って植えるだけではいずれ山は疲弊します。

 大切なのは、「地力」を損なわないことです。

 地力とは、その土地が持つ植物を育てる力のことで、狭く言えば栄養分、広く言えば、その栄養分を維持する有機物、植生、土壌構造等で、地形なども入れてもいいかもしれません。

 地力を損なわない林業とは?

 答えは簡単です。地力を損なう場所にはスギやヒノキを植えないことです。例えば、土壌が流出しやすい急峻な斜面とか、水の浸食を受けやすい谷筋とか、表土の薄い尾根筋とかです。そもそも林業的にそのような場所からは質の良い木は取れませんし、植林コストもかかり利益薄でメリットがありません。

 そういった場所は自然の森に還してあげましょう。スギやヒノキは伐出も植林もしやすい山の中腹以下や緩傾斜などに植えればいいのです。

 それに、山は繋がっています。自然林に戻した場所は地力が維持されます。そして、巡り巡って植林地の生産性も向上します。例えば、急峻な斜面を自然林に戻して地力が維持されれば、その急峻な斜面の下部にある植林地に水や養分が供給され、結果として植林地の地力は維持されます。

 林業は農業とは違って山に肥料をまいたりはしません。ですから、地力の維持を意識した長期的な林業経営が求められるのです。


自然林を再生したいけど…

 スギとヒノキの植林地を自然林に戻すといっても簡単にはいきません。

 問題は「鹿の食害」と「コスト」です。

 ひと昔前は、伐採後に放っておけば自然に森に返りましたが、鹿の生育数が多い現在では伐採後に生えてくる草木が鹿にことごとく食べられてしまうため、なかなか森にまではなってはくれません。それどころか、場合によっては草も生えずに表土がむき出しになって土砂崩れを招いてしまいます。

 通常、スギやヒノキを植林する場合は、鹿による食害を防ぐために植林地全体を防護柵で囲う等の対策を取りますが、当然コストがかかります。

 自然林に戻すといっても、直接的に収益のある事業ではないためコストは掛けたくありません。

 さらに、自然林を作るにあたって何らかの苗木を植えるのもどうかと思います。最近ではクヌギやコナラ、ケヤキなど業者から入手しやすい樹種を「広葉樹」として安易に植林する傾向にありますが、それを自然林とするのは無理があります。

 理想を言えば、その土地に生えている多種多様な樹種を苗木として植えたいのですが、広大な植林面積に対しては何百本と用意しなければならず、それこそ手間とコストが掛かって現実的ではありません。


天然更新による自然林の再生

 とりあえず、木の伐採跡地を放っておいても自然林には戻らず、苗木を植えるのは事業として現実的ではないと判断しました。

 そこで試してみたのが、伐採跡地に自然に生えてくる樹木を生かした、「天然更新」による自然林の再生です。

 もちろん、鹿に食べられてしまうので防護柵で囲う必要はありますが、苗は植えなくてよいので、苗を植える人件費を含め、その点は費用は掛かりません。

 ただ、天然更新には大きな問題が一つあります。それは、どんな木がどれだけ生えてくるか分からないということです。更に、生えてきたところで木の種類を見分ける知識も必要ですし、木がある程度成長するまでは草刈りをしなくてはなりません。

 何よりも近い事業体に天然更新の事例が無いため、何から何まで手探り状態です。

 このように、課題だらけの天然更新ですが、木材価格の低下と共に伐採後の未植栽地が問題になる中、低コストの森林再生事業として期待を持っています。

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